古いマシンの Windows 10 の後継となる OS を考える

Windows 11 に対応していないマシン(Intel 第7世代以前、Ryzen 1000シリーズ以前)は Windows 10 のサポート終了後どうすればいいかについて考えてみました。

Windows 10 をサポート終了後も使い続ける

Windows 10 のサポート終了後はセキュリティアップデートも含め一切のアップデートが提供されず、セキュリティリスクが高まるだけではなく、ソフトウェアメーカーもサポート終了OSはサポート対象から外すため、多くのソフトウェアが動作しない、あるいはインストールさえ行えなくなっていきます。

そのため、少なくともアップデートを一切せずに、スタンドアロン環境でのみ使用し続けるという事でもなければ、実質的にサポート終了後の Windows 10 を使い続けることは不可能です。

よく Windows 10 の代わりのOSとして挙げられるのが Linux や Chrome OS です。正直、用途によってはこれらのOSでも必要十分です。各OSについて考察してみましょう。

Chrome OS

Chrome OS の大きな特徴はGooglePlayストアのアプリ(Androidアプリ)を使用できる点です。Androidアプリで必要となる作業がすべて行える、あるいはWebブラウザ上での作業(Webページ閲覧やブログ執筆、動画視聴、クラウドサービスの使用等)が主ということであれば、Chrome OS の選択でよいかもしれません。

但し、Chrome OS では基本的にクラウドベースでの作業となるため、ローカルでの動画作成やゲーム等には向きません。事務的作業やミーティング等のビジネス用途や専用ソフトを使用することを前提とした教育や学習用途に適してたOSと言えます。そのため多くのユーザーは Windows 10 の代わりのOSとして使用するには不満を感じるかもしれません。

Linux

一方、Linuxは一般的にサーバ用途に使用されるOSであり安定性は抜群で、最近ではUbuntuやLinux Mintなどデスクトップ環境もデザインやユーザビリティ等熟成されてきており、ほぼWindowsやMacと遜色ない感覚で使用することができるようになってきています。

また、LinuxはCLI(Command Line Interface)での作業に強みがあり、多くの作業がCLIベースで実施可能です。例えばSSHで接続して文書作成やコーディングを行ったり、OSのメンテナンス、CLIベースのアプリケーションのインストールや設定変更等、多くの事が実施可能です。特に文書作成やコーディングについてはVimやEmacsなど非常に優れたエディタがCLI上で使用可能であり、基本GUIベースのWindowsとはまた違った使い勝手の良さがあります。

またLinuxコンテナ(LXD)を利用すれば複数の開発環境を簡単に構築することも可能です。Linuxコンテナは仮想マシン(VM)とは異なりリソースをあまり占有しないため比較的低スペックのマシンでも快適に動作させることが可能です。

但し、あくまでもLinuxであるため、何かあったときには基本的にコマンドでの作業が必要であり、ある程度Linuxを分かっている人でなければ本当の意味で使いこなすことは難しいかもしれません。基本的なコマンド(LPIC Level 1程度)やVimでの基本操作等は習得しておきたいところです。

また、ソフトウェアに関しても、Windowsに比べれば、圧倒的に対応アプリケーションやゲームは少なく、限られたアプリケーションの中から選択するか、クラウド上のサービスを使用する、と割り切った考え方が必要になります。

なお、ゲームに関してはSteamでProton(ProtonはSteam Playに統合されている)を有効にすれば多くのWindows用ゲームをLinux上で動作させられるようになりますが、完全にWindows環境と遜色なく動作させられるゲームというのはまだ限られています。ProtonはWineとDXVKから構成されますが、動作原理としてWindowsのAPI呼び出しのLinuxのAPIへの変換を内部的に行っており、完全なWindows用ゲームとの互換性が提供されるものではありません。一部のゲームは画面表示がおかしかったり、正常に動作しなかったりします。

今後を見据えればやはり Linux

今後のゲーム業界の動向にもよりますが、多くのメーカーがDirectX(Windowsのゲーム・マルチメディアAPI)ではなくVulkan(クロスプラットフォームなグラフィックスAPI)ベースでゲーム開発を行ってくれれば、Linuxネイティブのゲームも増え、Linux環境でのゲーミングも盛り上がる可能性があります。代表的なゲームとしては例えば「Ark: Survival Evolved」や「シヴィライゼーション(5以降)」、「トゥームレイダー(リブート版)」などはLinuxプラットフォーム版もリリースされており、これらのメーカーに続くメーカーがどんどん増えてくれれば、「対応ゲームの少なさ」というLinuxのデメリットも次第に解消されていくのではないでしょうか。

というのもVulkanベースのゲームは Windows でも動作するため、メーカーにとってもVulkanベースで開発することによる大きなデメリットはないはずです。

問題は対応ソフトウェアの少なさだけではない

細かなところで言えば、LinuxはWindowsと比較して対応ソフトウェアが少ないというだけではなく、ソフトウェアの作りも甘い(必要最低限の機能のみ提供)印象があります。例えばWindows版は多くの設定項目や機能が備わっているにも拘わらず、Linux版は設定画面さえ用意されていないものも目立ちます(グラフィックドライバやマザーボードのユーティリティ等)。この辺りはメーカー側の今後のLinux環境に対する意識改革や取り組み強化に期待したいところですね。特定のOSが圧倒的シェアを占めるというのは政治的にもよろしくありません。

公開日:2024年10月20日
最終更新日:2024年10月24日

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