Windows のリテール版と DSP 版の違いは?

リテール版とDSP版のライセンスの違い

リテール版とDSP (Delivery Service Partner) 版の違いはライセンスの考え方の違いにあります。 リテール版つまり、家電量販店で売られている箱入りのパッケージは、ライセンスはあくまでも購入者に与えられます。 そのため、最初にインストールしたパソコンから別のパソコンに乗せかえる事も可能です。(乗せかえ元のパソコンからはOSをアンインストールする必要があります)

それに対してDSP版はパソコン本体もしくは同時購入したハードウェアにライセンスが与えられます。 そのため、プリインストール版であれば、他のパソコンに乗せかえることはライセンス上できません。 自作マシンであれば、同時購入したパーツと常に一緒に移動させる必要があります。 そのため、ライセンス認証の条件にも若干の違いがあります。

追記:
Windows 8 / 8.1 では DSP 版のライセンスポリシーが変わり、パーツとのバンドル無しで OS のみの単体購入が可能になりました。

更に追記:
Windows 10 では単体購入は不可でパーツと一緒に購入する必要があり、Windows 8 よりも前のライセンスポリシーに戻っています。

追記:
DSP 版のプロダクトキーは Hyper-V などの仮想マシンには使用できません。

32bit/64bit版の両方が同梱か別か

その他の違いとして、Windows 7 以降では、リテール版は32bit/64bit版の2つ入りですが、DSP版は32bit、64bit版はそれぞれ別パッケージです。 32bit版を購入したけど、64bit版をインストールしたいという時は別途64bit版を購入する必要があります。

そのため最初は32bit版を使いたいが、将来的に64bitに移行する可能性がある場合は、リテール版を購入した方が良いでしょう。

アップグレードインストールができるかできないか

更に、インストール方法の違いとして、リテール版は以前のOSからのアップグレード版が存在しますが、DSP版にはアップグレード版はありません。 そのため、以前のOSから設定やアプリケーションなどを引き継ぎたい方はリテール版の購入が必要です。

※Windows 8 以降のリテール版は、通常版・アップグレード版の区別が無くなり、どちらも行えるようになりました。 但しダウンロード版はアップグレードのみです。

追記:
Windows 8 / 8.1 のリテール版はアップデート版のみで、ライセンス上、クリーンインストール(新規インストール)は認められていません。

追記:
DSP 版はアップグレードが不可のため、Windows 10 / 11 で「プロダクトキーの変更」機能で、例えば Home の環境から Pro の DSP 版のプロダクトキーを用いてエディションを変更することもできません。

結局どちらがお得か

価格的には例えばリテール版の Windows 10 Home アップグレード版とDSP版 Windows 10 Pro 64bit(+メモリ)がほぼ同じなので、普通に考えればDSP版の方がお得です。 また、リテール版のアップグレード版は当然ながら以前のバージョンの Windows が必要ですが、以前のバージョンをインストールしていなくてもCD-Keyを入力すればインストールが行えた Windows XP などとは異なり、Windows Vista 以降はインストール済み且つ、ライセンス認証済みの以前のバージョンの Windows が必要となります。

つまり、Windows を再インストールする際には、以前のバージョンの Windows のインストールから行わなければならず、煩わしさがあります。 この点から考えてもリテール版のアップグレード版よりもDSP版の方がお得と言えます。

ただし32bit/64bit版の両方が欲しい、アップグレードインストールがしたい、無償サポートを利用したいという場合、どうしてもリテール版の化粧ケースが欲しいという方はリテール版の選択となります。

※なお、上述したように Windows 8 以降は通常版・アップグレード版の区別が無いため、これまでアップグレードを重ねてきた人は一度リセットされる事になります。 つまり以前のバージョンのインストール有無に関係なくインストールできます。

追記(2019/11/28):
最近の傾向としてリテール版とDSP版は価格差はほぼ無くなってきました。 そのため新規/アップグレードインストールの両方が可能で32bit/64bitの両方入り、且つMicrosoftのサポート付きのリテール版が断然お得です。DSP版は一緒に購入したパーツが取り付けられているマシンに新規インストールする場合にのみ選択候補となり、それ以外の可能性がある場合(仮想マシンやエディションのアップグレードでの使用等)はリテール版を購入した方がいいでしょう。

DSP版の購入時の注意点

更に補足すると、DSP版は同時購入したパーツにライセンスが付与されるため、自分のパソコンに取り付けられるパーツと共に購入する必要があります。 とはいえ、パソコンパーツは5年や10年経ってしまうと最新のパソコンには物理的に取り付けられなくなる場合もあります(PCIスロットなど時と共に消えていく規格があります)。 古いパーツを使い続けるには古いマシンのまま使用し続けざるを得ない可能性がありますが、それには限界があります(特にCPUやメモリ、グラフィックカードなど)。

また、PCにバンドルされているDSP版の場合、逆に時間の経過と共にそのPCに増設もしくは換装が可能なパーツが品薄でどんどん高額になって行く可能もあります。そのためDSP版の購入の際には、それらも踏まえてどのパーツと一緒に購入するかという点に注意が必要です。(DSP版はマイクロソフト社の無償サポートも使えません)

以上の点を踏まえた上で、リテール版かDSP版かの検討を行っていただければと思います。

追記(2021/12/31):
ちなみに Windows 11 はメディアで販売しているのは DSP 版のみです。リテール版はダウンロード販売のみとなります。

追記(2022/04/15):
Windows 11 のリテール版も販売が開始されました。

公開日:2010年07月18日
最終更新日:2024年01月17日

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